REPORT
エールプロジェクト活動レポート

2017/9/21

元全日本女子バレーボール選手大山加奈さんが横浜隼人高校を訪問

 元全日本女子バレーボール選手の大山加奈さんが21日、神奈川・横浜市内の横浜隼人高を訪問した。アテネ五輪に出場した名アタッカーは約400人の生徒を相手に講演を実施。「実は病弱で運動嫌いでした」などと意外な秘話を明かし、さらに女子バレーボール部を熱血指導した。
 「パワフル・カナ」の愛称で親しまれた名選手が、等身大の言葉で激動のバレーボール人生を振り返った。小中高すべてで日本一に輝き、五輪に出場。エリート人生を歩んできた大山さんは「信じられないかもしれないけど……」と、冒頭で意外な秘話を告白した。
 「実は私、すごく病弱で、運動が嫌いで運動が苦手な子供でした。喘息を持っていて、夜中に発作を起こして病院に運ばれるのが当たり前。先生には『激しい運動をしてはいけない』と言われる。運動をすると、息が苦しくなるから苦手になる。走ればいつもビリ。逆上がりもできない。プールも小6でやっと25メートルを泳げるようになった。体育の成績は『3』。こんなふうに人前で話をするなんて、とんでもない。引っ込み思案で、すごく暗くて友達もいませんでした」
 大塚製薬が企画し、バレーボール、サッカー、バスケットボール、柔道、テニス、バドミントンを通じて、全国170校の部活生を応援する「ポカリスエット エールキャラバン」の一環として訪問した同校。元スター選手がいきなり明かした話に生徒も食い入るように耳を傾けた。

「妹に負けない」から始まったバレーボール人生「初めて『悔しい』と思った」

 バレーボールと出会ったのは小学1年生。当時138センチあり、小学5、6年生並みで同級生から頭一つ抜けて大きかった。その体格が上級生の目に留まり、バレーボールチームの練習を見学すると、「みんな、すごくキラキラしていてカッコ良かった」という姿に魅了された。病弱であるがゆえに心配した両親を説得。ボールを追いかけ始めた。
 しかし、運動はからっきしダメ。監督も「すぐにやめるだろう」と思っていたが、大山さんを変えた人物がいた。それは、同じチームでバレーボールを始めた1歳下の妹・未希(現ビーチバレー選手)だった。 「私と正反対で体がすごく丈夫。運動神経抜群で何でもできる。負けず嫌いで、スポーツをやる上で大事な要素をすべて持っていた。だから、妹が先にレギュラーになった。それで初めて『悔しい』と思った。苦手だから、体が弱いからと逃げていた。そこから目標ができた。
 『妹に負けない』――。優勝とか日本一とかじゃない、すごく小さな目標でしょ? でも、そんな小さな目標から私のバレーボール人生が始まった。そこから、人生が変わった。試合に出たい。それなら、練習を休んでいる場合じゃない。喘息の苦しさに負けなくなりました」その時に「目標を持つと、いいことがあるな」と気づかされ、バレーボールにのめり込んだ。恵まれた体格に裏打ちされ、メキメキと頭角を現し、小6で日本一を達成。さらに、日本一を目指して進んだ下北沢成徳中では、バレー観を変える出来事があったという。
 「当時、バレーボールは一生懸命だけど、それ以外は全くしていなかった。授業中は寝てばかり。練習で疲れて家のことも親に任せきり。でも、それじゃダメだ。日本一になりたいのであれば、日本一にふさわしい人間にならないといけないといつしか気づきました」練習はもちろん、授業、試験、家事、すべておろそかにすることをやめた。すると「神様が見てくれているのかな」と3年生で目標の日本一を達成することができた。
 「すごく大事なことを中学生で気づけた。夢や目標を持つのであれば、夢や目標にふさわしい人間にならないと叶わないということを知ることができた。バレーボールだけじゃダメ。すべてのことに全力で頑張れる人間じゃないといけないと気づかされました」  伸び盛りの10代に成長していく上で原点ともなるべき“気づき”。そこから飛躍を遂げ、高校で日本一。日本代表に選出され、アテネ五輪に出場。そして、腰痛の故障に苦しみながらも現役生活を全うするまでの日々を語りつくした。

バレー部を熱血指導…「大山さんが春高予選まであと43日ならどう過ごしますか?」

 約45分間の講演を拍手喝采で終え、生徒たちと記念撮影を終えると、今度は“本職”のバレー指導で汗を流した。春高バレー予選が1か月半後に迫っているバレーボール部と対面。20人以上の選手に対し、実際に実業団時代に取り入れていた練習を紹介しながら、実践的な手ほどきも行った。
 「サボっている人がいるチームは強くならない」「レギュラーもレギュラー以外も意識を統一することが大事」。第一線を走り続けた元トップ選手の言葉に頷きながら、選手たちは懸命にボールを追いかけた。最後の質疑応答では「春高バレー予選まであと43日、大山さんならどう過ごしますか?」という問いに対し、こう答えた。
 「43日前であっても、大会前であっても変わらずに100%で練習します。何故かといったら、大会前だけ頑張っても、強くならないからね」
 語り口は優しく、何気ないひと言でも重く響く言葉だった。重要な試合を控えた選手たちにとっては、かけがえのない90分の特別教室となったことだろう。
 そして、最後は一人ひとりに「頑張ってね」と声をかけながら、握手を交わした大山さん。この日、子供たちが得た経験が、これからの財産になることを願っている。